家に帰って、母に頼んだ。
「お母さん、A子ちゃんちで生まれた子猫飼ってもいい? 私が飼えなかったら、
保健所に連れていかれちゃうのかもしれないの!」
家は持ち家(一軒家)だったので、猫を飼うこと自体は問題ない。
しかし母は許可してくれなかった。
「うちでは猫は飼えないから。保健所? 大丈夫よ、誰か他の人が飼うでしょ」
「お願い、お母さん! ちゃんと世話するから!」
うちで飼えなかったら子猫は保健所行き! と思っいこんでいた私は、
もう土下座の勢いで頼み込んだ。
気が付くと、猫が嫌いなはずの兄まで、私の隣で土下座していた。
兄も賛成した、ということで、母の態度は軟化した。
「……お父さんがいいって言ったらね」
帰ってきた父に頼むと、笑って許してくれたので、子猫はうちの子になった。
338: 2/2 20/10/18(日)12:03:47 ID:ne.lc.L1
名前は、くろべえにした。
母には「ちゃんと面倒見なかったら、保健所だからね!」と散々脅された。
でも猫の飼い方についての本を買ってきてくれたり、獣医に連れて行ってくれたり、
母も一緒に面倒を見てくれた。
兄は小遣いから猫じゃらしとか猫のおもちゃを買ってきて、よくくろべえと遊んでいた。
猫嫌いとは何だったのか。
父がのんびり晩酌してるとき、くろべえはよく父の膝に座っていた。
父はくろべえを撫でながら、すごく嬉しそうな顔をしていた。
娘の私にも向けたことがないような、甘い顔だった。
くろべえは大人しく優しい子だった。
お風呂が大嫌いで洗われるときは一生懸命逃げようとするんだけど、
決して私を引っ掻いたりかんだりしなかった。
甘えん坊で、膝に乗ったり、抱っこされるのが好きだった。
そしてなぜか私が抱っこしたときだけ、頭の上までよじ登って、そこで落ち着いていた。
頭の上に乗られると、重いし動けなくなるし(くろべえが落ちるかもしれないから)
で、やめてほしかった。
でも兄にはうらやましがられた。
くろべえは18歳で病死した。
で、私は今も猫を飼ってるんだけど、この子が人懐っこくて甘えん坊で、
膝に乗ったり抱っこが好き。私が抱っこすると、頭の上までよじ登ってくる。
私にだけ。
これがいわゆる「毛皮を着替えてきた」ということなのかな、と思っている。
黒猫じゃなくて白猫だけど、私はくろべえの前で「白猫ならよかったのに」
と言ったことがあるので(反省してます)、毛皮の色を変えてきてくれたのかもしれない
339: 名無しさん@おーぷん 20/10/18(日)12:54:24 ID:Sh.it.L1
名前はしろべえかな?
コメント